第7章 メモリアルフォトアルバム
それぞれの仕事で駆け出しの新人の俺達。
休みはなかなかあわないけど、
それでも時間をみつけては、
お互いのアパートを行き来する。
『そういえば、
今月のアムアムに及川君が載ってたよ。』
『あ、それ、俺も店で見た!』
『懐かしくなって、卒アル探してきた。見る?』
『見る見る!うわぁ、なんか恥ずいなぁ。』
…なつかしい顔。
『及川、どの写真も全部キメ顔で笑える~。』
『それに比べて岩泉君!
どれも眉間にしわ寄ってて、怖っ(笑)』
『まっつんなんか、先生並みの貫禄やん。』
『貴大は、この頃からオシャレだね~。』
…なつかしい風景。
『あー、この自転車置き場!
雨が降ると、雨漏り、ひどかったよな。』
『ねぇ、ここで、
及川君と岩泉君が大喧嘩したの覚えてる?
止めに入った貴大まで殴られて、
女の子達は集まってくるし、
大騒ぎだったよね。』
『この銅像!金田一が自転車で激突してさぁ…』
…次々と、思い出がよみがえってくる。
『この校舎裏で、貴大が告白してくれたね。』
『そうそう。1年の夏休みの補習の後。』
『あー、美術室!ここで初めてキスしたよね。』
『一緒に帰る約束してたのに
アキがなかなか来ないから
美術室に迎えに行ったら、
アキ、一人で石膏像のデッサンしてたんだよな。
なんか、その像が裸っぽくて、
それ見てたらムラムラしちゃってさ…
俺って、アホだよな。』
『私のファーストキス、
そんな理由で奪われちゃったの?!』
顔を見合わせて、大笑いする。
『でも今は、純粋に、アキとキスしたい。』
…不思議な感覚だ。
高校生の頃から時間をワープしてきたような。