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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第27章 ウェディングプランナー



『で?』

…まだ話していいのかな?

『面白くない話ですみません。』

『いや…最後まで、聴きたい。』

短い言葉。温かい。

『次の人のことは…
ホントに誰にも言ってなくて。
会社の出入りの業者さんだったんです。』

前の彼と別れた後から、
少し、お酒を…主にビールと焼酎…覚えて
一人で晩御飯を食べに行くことが増えた。

その時に、たまたま。
向こうも一人で食事してて。

『声、かけるじゃないですか、
だって顔馴染みの人だから。
一緒の席に座って、まぁ、飲みながら
あれこれ、仕事の話とかして。』

『で、酒の勢いで、寝た、と。』

『そうなんですけど。
ちょうど私も別れたばっかりだったし。』

それから、よく会うようになった。
…職場の人に見られると面倒くさいから、
ほとんど、会うのは私の家。
仕事のこともよく理解してくれてるから
私の部屋の鍵も渡してあって。

『家事も出来る人だったんです。
私が仕事の時も、先にうちに来て、
ご飯作って待っててくれてたり。
休みがあわなくても平気、って。
職場の姿、見てるからわかる、って。』

『…サイコーじゃん。』

『ですよね。私も大好きでした。
彼となら、結婚してもいいって思ってたくらい。』

『なんで、ダメになった?』

『外で会うことは滅多になくて
ほとんど私の部屋でDVD見たり、料理したり…
ほーんと、インドアだったんですけど、
一回だけ、わがまま言ったんです。
私の誕生日に行きたいレストランがある、って。
彼は、
俺が料理するから家で祝おう、って言ったけど
私がどーしても、って頼んで。』

『…うん。』

今でも思い出す。サイテーの誕生日。

つきあって一年を過ぎていた。
もしかしたら今日、プロポーズされて、
指輪とか出てきたらどうしよう、
…なんてことまで妄想するくらい、浮かれてた。

その日は早く仕事を終わらせて。
日暮れの街を二人、手を繋いで。

すごく幸せで。

この人との未来を
真剣に考えてもいい、って

もし"彼と結婚します"って言ったら、
職場の人はきっと
"いつからつきあってたんだよ?"
"気付かなかったー"って
驚くだろうな、

今度のお正月に実家に帰省した時は
親戚の前で堂々と
"そろそろ結婚する"
"東京まで式に来て!"って話せるな、って

そんなことまで考えてたくらい、幸せだった。


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