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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第27章 ウェディングプランナー



この部屋に入った男の人は、
黒尾さんが初めて。

先に『今日は寝れない』と伝えてある。
それを承知で来てくれた。
なら、もう、話すことはコレしかない。

夜だし。
飲んでるし。

…闇とお酒。
終わった恋の話をするなら
絶好のシチュエーションだ。


『二つ前、夜久君と夏希ちゃんの逆バージョンで。』

『逆?』

『そうです。私が土日に仕事なのを
彼が心よく思わないパターン、です。』

いわゆる"合コン"で出会った人。
真面目できっちりした人だった。
土日祝日が休みで
平日も割と決まった時間に帰る人。

私は、逆。
土日祝日は必ず仕事で
平日帰る時間も、お客様次第で変わる。

『その頃、私、
やっと仕事が楽しくなってきた頃で。』

ますます仕事に没頭して、
多分、私はイキイキしてたと思う。

…それが彼には面白くなかったんだ、って
今ならわかるんだけど。

『ある日突然、結婚しよう、って
プロポーズしてくれたんです。
"あ、私も新婦の立場を経験したら、
もっと仕事に役立てられる"、って
すごく嬉しかった。』

『…』

黒尾さんは、黙って聴いてる。
わかる。
これは、無関心、じゃなくて
受け止め上手な彼の、優しさ。

『だけど、条件が一つあって。』

『…仕事を辞めろ、だろ。』

『そうなんです。
…たくさん話し合ったけど、
向こうも私も折れなくて。
そのうち、"妊娠すればいい"って、
セックスするときも避妊してくれなくなった。
…なんか、違うなぁ、って思い始めて。』

『…大丈夫だったのか?…子供。』

『はい…そうなってきてからは
出来るだけ直接は会わないようにして、
結局、最後は電話で別れました。

悪い人じゃなかったし、
付き合い始めた頃はうまくいってたのに。
…結婚、ってなった途端に全てがダメになるって
皮肉だなぁと思いました。

だって私、結婚、憧れてたんですよ。

花嫁さんって、式の日が近づくにつれて
ホントにどんどんキレイになるんです。
魔法がかかったみたいに。

当日の"花嫁の輝き"なんて、
何回見ても、誰を見ても、ほんと眩しくて。

…自分もああなれる、って思ってた。

"彼と"結婚したいんじゃなくて
"結婚"に憧れてたんですよね、多分。
私が未熟だったと思う。
彼にも申し訳なかった…』

最後は、ほとんど、独り言。



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