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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第27章 ウェディングプランナー



自分の彼女だったら
手を繋ぐか肩を抱くし、

彼女じゃなくても
手を引っ張って歩きたいレベルだ。

…どれも出来ねぇのが、歯がゆい。

ドラマとか映画とかだと、こういう時、
転ぶんだよな。
で、抱き起こした時とかに触れて
進展したりするけど。

彼女は、
転ばなかった。

怪しい足取りでも
転ばず、目的地へ向かう。

それはまるで
彼女の人生のように見えた。

誰かに甘えりゃいいのに。
嘘でも転んで"助けて"って
泣きながら言えばいいのに。

それが言えない人。
よく言えば、意地らしい。
悪く言えば、可愛くない。
…今はどっちにも、見える。

ちなみに、くどいようだけど(笑)
ドラマとか映画とかだと
目の前で終電が去っていき、
しょうがなく二人はそのままネオン街へ…
とかなるんだろうけど、

『よかったー、セーフっ!』

彼女は
終電に、
間に合ってしまうんだな、これが。

タイミングが
いいんだか、悪いんだか。

つくづく
ドラマチックにならない展開(笑)

人の少ない終電に並んで座る。

『あのさ、』

『はい?』

大きく一息ついてホッとした顔の彼女に


『置いてかないでっ!』の意味は、
聞けなかった。


『何ですか?』

『…ん、ぁ、今日、夏希が
あんたの贈り物のセンス、誉めてたよ。
俺や夜っ久んじゃダメだって。
でも、なんであんたが監督の家族構成、
知ってんだろ?って話になってさ。
まさか俺もいたとは言えなくて、焦った。』

『今日は夏希ちゃんもいたんですね。』

『あぁ。あと、夏希に、
女、変わったか?ってきかれた。
なんか、スッキリした顔してる、ってさ。』

『夏希ちゃんが言うんだったら、
きっと黒尾さん、
ホントにスッキリしたんですよ。
きっと次の彼女が
そこら辺で待ってますよ~。
いいですね、次から次に。あぁ、羨まし!』

あんたのお陰だ、ありがとう、って
言えなかった。
彼女は全く
そんなつもりじゃないみたいだから。

…何も期待されないことが、
なんだか、悔しい。

俺の弱ってるとこ見たんだから
あんたの弱さも見せろよ、って
言いたいのに、言えない。

手を繋ぐのがイヤなまま、
置いてかれるのがイヤなまま、
心に抱えてフタしたまんま
ずーっと一人で生きてくつもりか?って
聞きたいけど聞けない。


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