第27章 ウェディングプランナー
酒の勢いに任せて誘ったことを、
心から後悔した。
本当は、
愛のあるセックスがしたいに決まってる。
でも、愛を上手くつかめなくて。
愛されることは諦めたけど、
身体が疼くのは止められなくて。
"誰か"の代わりでいいから
抱かれることを選んで。
でも、もう、傷つきたくはなくて。
…俺に、そっくりじゃねーか。
俺もあの日の別れ際、
トーコの目を見れなかった。
目をそらしたら終わる、と思うと、
辛くて。
彼女が『手を繋ぎたくない』というのは
きっと、あれと、同じ。
でも、今さら
"じゃ、抱くのやめる。"と言ったら
それはそれで彼女に対して失礼だ。
中途半端に
自分勝手に
誘った俺が、悪い。
…責任もって、抱かねーと。
『わかった。
キスしない。手も握らない。約束する。
…行こう。』
それしか、言えなかった。
自動ドアをくぐる。
肩を並べて、同じ歩幅で。
相手のことを思いやる余裕なんか
全然ない時に限って足並みが揃う…って
皮肉だな。
まだ、手も触れたことない俺達に
どんな夜が待っているのか。
…想像もつかなかった。
楽しい夜でないことは間違いないなく。
だけど、引き返せない。
今まで、セックスは
愛情の確認、のことも
快感が一番、のことも
若さの勢い、のこともあったけど
こんな苦しい気持ちでしたことは
一度もなかった。
…終わった女のことは、一切、考えないように。
目の前の彼女のことだけ考えるように。
彼女には申し訳ない。
けど、それでも今夜、
一人にならずに済むことが
本当にありがたかった。
…勝手な理由につきあわせて、ごめんな。
…そしてトーコ、
どうやったら、
俺の中から、
消えてくれる?
俺、やっぱり誰かを心から愛したい。
なのにお前が心にいるから
いつまでたっても、次に行けねーよ…