• テキストサイズ

ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第27章 ウェディングプランナー



…多分、俺、
本当は、そんなに酔ってない。

でも、酔った顔をしないと
シラフじゃ弱音吐けねーし、

酔ったふりをしないと、
こんなこと、尋ねらんねー。

『早瀬さん、彼氏以外の男と寝たこと、ある?』

…びっくりした顔。

『えと、寝た…ってのは、その…』

他の客に聞こえないように
耳元に口を近付けて。

『セックス、だよ。
彼氏以外の男に抱かれたことあるか、
って聞いてんの。』

『あ、その、酔った勢いで…なら。
でも、別れてからのことで、
つきあってる時じゃないから
二股じゃないです、当然。
そんなモテないし、あ、知ってるか。』

『ふーん。
今、彼氏いないんだろ?どーしてんの?』

『ど、どーしてんの、って、何を?』

また、耳元に口を近付けて。

『性欲。シたくなったらどーしてんの?』

『…黒尾さん、飲みすぎ。』

そう思うよな。

フウッ…深呼吸をしてみた。
でも、おさまらない気持ち。

もう一度、
耳元に口を寄せる。

『ね、自分で、シてんの?』

『…黒尾さん、飲みすぎですって。』

『この間は、キレイゴト言ったけどさ。』

拒否されても、
酒のせいにすればいい。

『やっぱり、あんたを注文したい。』



今夜は、
金で買うんじゃない女を抱きたかった。

欲を吐き出すだけじゃなく、

…少しでいいから
相手に心を寄せたくて。

目の前のこの人なら、
義理やプロ意識(?!)で
過剰にヨガッたり喘いだりしなさそうで。

本気で求めたり
本気で恥ずかしがったり
本気でイッたりしてくれそうで。

誰かを、遠慮なく愛したい。

けど…困った顔。

『…アハハ、ダメに決まってるよな。
ごめん、俺、酔ってる。今の、忘れて。』

ほんの一瞬の沈黙。

『私で、代わりになれますか?』

…俺のヨコシマな気持ち、バレてる。

きっと今夜、トーコは
久しぶりに帰国して
楽しい酒で上機嫌の旦那に抱かれるはず。

終わった女へのどうしようもない嫉妬。
それが、バレてる。

『ごめん…あんたも
俺を誰かだと思っていいから。』

『もう
代わりに思い浮かべたいほど
好きな人もいませんけどね。』

それでも、こんな自分勝手でも
いいって言ってくれるんだな?

…ありがたい。
気が変わってしまう前に。

『…行こう。』

伝票を持って、席を立った。

/ 1378ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp