第6章 ウェディングブーケ
月島君に背中をどつかれて
押し込まれたドアの向こうは暗闇で…
いや、違う。暗闇じゃない。
目が慣れてくると、
正面に十字架のようなものが見える。
周囲は…
壁も天井もガラス張りの空間?
ガラスの向こうには
夜空と海が広がっているようで…
ここは、もしかして、チャペル的な?
祭壇らしき場所には、
逆光でよく見えないけど、誰かいる。
『早瀬。』
私の名前を呼ぶ声は
…え?なんで?及川?…
『早瀬、こっち来て。』
私に向かって片手を差しのべているのは、
確かに、及川。
悔しいけど、かっこいい。
…よくわからないまま
恐る恐る及川のところに行くと、
手をとられて
祭壇の前で向かい合う。
ねぇ、何なの、これ?