第6章 ウェディングブーケ
撮影終了後、
早瀬さんは記者たちとの
確認事項の打ち合わせに行き、
俺は及川さんの帰り支度を手伝っていた。
『ツッキー、この後、
どっか 場所、おさえてくれる?』
『さっきの記者たちと合コンですか?』
『違う。記者ちゃん達じゃなくて、早瀬を呼んで。』
『?』
『プロポーズの言葉、
生まれて初めて口にするんだから、
それなりの場所、選んでよ。』
『?!』
…及川さん。
そんな大事な場所、
今すぐ決めろって言われても、とか
そんな大事なこと、
仕事の延長でやらないで下さいよ、とか
そもそもそんな大事な場面、
人に頼むもんじゃないでしょ、とか
言いたいことはたくさんあるけど。
とりあえず、
俺にとってこれは
仕事の一環だと思うことにする。
急いで、あのプランナーさんを呼んだ。
『…というわけで、
予定外で申し訳ないんですけど、
ご協力、お願いできませんか?』
『いいですよ、任せて下さい!
そんな大事な場面で
私達の会場を使っていただけるなんて、
光栄ですもの。
それでは、すぐ準備して参りますので、後程!』