第26章 ~恋ネコ⑥~ 留守番プロポーズ
そう、研磨は、Mの時とSの時がある。
お互い、つきあうまで、
自分はセックスには淡白だと思っていた。
私は、
男に組み敷かれるなんてまっぴら、
さりとて女王様なんて、何ごっこよ(笑)
と思っていたし
研磨は、黒尾君が言う通り、
相手のことを考えるのが面倒だから
自慰で充分だと思ってたらしい。
そんな私達が
新しい自分に目覚めたのは
初めて研磨が取材を受けた日だった。
もともと寡黙な研磨を
表に出したのは、私の戦略。
きちんと対応してくれたけど
その後、ドッと疲れた顔で
ソファに崩れた研磨を見て
申し訳ない、と少し思い、
『コーヒーでも、飲む?』と
聞こうと思って研磨を見たら、
…股間が異様に膨らんでいるのが
目に留まった。
本人はこの感覚を知らないから
『疲れた』という言葉を使ってるけど、
本当は、新しい刺激に興奮してる。
なら、
その緊張と興奮を
放出する喜びを、与えてあげたい。
事務所の…あの頃はまだ社員もいなくて
小さな部屋に二人きりだった…鍵を閉め、
ハイヒールを脱いで、
研磨の横たわるソファの足元にのり、
研磨のベルトに手をかけた。
『ど、ちょ、なに?なにすんのさ?!』
上半身を起こし、パニックのような顔で
でも、身体を固めたまま慌てる研磨。
『いいから、そのままにしてて。
頭の中、スッキリさせてあげるから。』
『は?なにいってんの?
やだよ、そーいうの、契約に入ってないし!』
『契約に入ってないってことは、
していい、ってことだから。』
『早瀬、頭、おかしくなった?!』
『うるさい、黙ってて!』
…自分がどこでそんなことを身に付けたか
覚えがないのだけど(笑)はずしたベルトで
研磨の両手を上げさせて縛り上げ、
口に、タオルを突っ込んで黙らせた。
『…ン…や、やめろ…』
的なことを言っているようだけど、
声になってないから、無視。
そして、現れた彼のぺニスは
年齢のわりにあまり使っていないような
若々しさ。
研磨の背中の下にクッションを入れて
身体を少し起こさせる。
『研磨、よく見てて。
これが、ホントの君。』
研磨が、怖いもの見たさのような顔で
こっちを見ていることを確認し、
丁寧に両手で刺激しながら、
よく見えるように舌を這わせると、
研磨の表情が、
かわったのが、
見えた。