第25章 ~恋ネコ⑤~ 雨降りプロポーズ
なんだかわからない展開に
なってきましたが、
とりあえず俺は俺なりに
レギュラー定着と
お兄さんを最低5本ブロックを目指して
バレーに勤しみ、
そしてアキちゃんは
まだつきあってない俺の為に
お弁当作りの日々が始まりました。
俺、
母親以外の女性にお弁当作ってもらうって
人生初、なんです。
いまだに
食っても食っても腹が減る成長期。
たいがいのもんは、喜んで食べます。
ましてや、それが、
大好きなアキちゃんの手作りならば。
…ええと、
そんな俺でも、
最初は、なかなかビックリでした(笑)
多分、アキちゃんは
元気がよすぎるんだと思います。
じーっと待てない性格?
だから、
早く動かしすぎて形が崩れた
卵焼き、とか
ダイナミックに切り込み入れすぎた
ソーセージ、とか
多分、
茹でたまま違う作業してて
お湯から上げ忘れた
ヤワヤワブロッコリーとか
最初に味をつけすぎて
煮しめたら味が濃くなった煮物、とか
茹でたあと、ほおっておいたであろう
団子のように固まったマカロニとか、
火加減がわからなかったと思われる
こんがりすぎる揚げ物とか
塩水に浸け忘れたのかな、って感じの
茶色いリンゴとか、
(皮の耳は、リス並の小ささだった)
そんなもののオンパレードだったけど、
それはそれで
作るときの失敗談を聞かせてもらいながら
食べるのが俺は楽しみで、
…山本先輩に言わせれば、
それは"愛の魔法"らしいっす…
だから、
俺の大好物の唐揚げを上手に作ってくれた時は
人目も憚らず、ハグしちまいました!
だって、
けなげでかわいいでしょ?
こんだけ失敗しても
お母さんの力を借りたりしないで
自分で頑張る姿とか、
失敗しても隠したりしないで
それを持ってくる姿とか。
俺、すっげー、影響されて。
俺、誰かのために
こんなに一生懸命になったこと、
あったっけ?って思う。
最初は可愛くて元気なところが
好きだと思ってたけど、
今は、それだけじゃない。
前向きで、くじけなくて、
負けず嫌いで、明るくて、
頑張り屋で、楽しくて。
…ちなみに、同じ弁当を
お兄さんにも毎日作ってるそうです。
でも、お兄さんはなかなか
全部は食べてくれないらしくて。
食べられなくはないと思うんだけど…
やっぱ、
LOVEの問題なのかな?