第25章 ~恋ネコ⑤~ 雨降りプロポーズ
『先輩、もしあかねちゃんが
先輩よりバレーが下手なヤツと
つきあうって言ったら、どーします?』
『はぁっ?なんだなんだ、
あかねにそんな男がいんのか?!』
『いや、例えば、ですよ。例えば。』
『そりゃ、あんまヘナチョコだったら
おもしろくねーわな。
だって、他のこともナヨい男だったら
妹、任せたくねーじゃん。』
…やっぱ、そうなんだ。
兄としては当たり前、なんだな。
『実は…』
今日のことを話すと、山本先輩は
うーん、と唸った後、言いました。
『お前の味方、してやりてーけど、
兄ちゃんの言い分も、わからなくはない。
ま、言い方はヤな感じだけどな!』
『明日、会ったら…』
『そりゃお前、
ガッツーンと宣戦布告しちゃれぃ!』
…そうでした。
山本先輩、そういう挑発には
極めて乗りやすい人でした…
翌日。
お兄さんと向かい合った俺。
『あの、とりあえず俺、
冬合宿での勝負を宣言します!』
『ほ~。あと4ヶ月。おもれーじゃん。』
『あたしも!』
『は?お前は、何すんの?』
『あたし、お弁当、作るからっ!』
『…え?』←俺
『えええっ?!』←お兄さん
『おいしいお弁当作って、
犬岡君を応援するんだからっ!』
ま、まじですか?なんと女子らしい♥
『やめとけ!却ってフラれるって!』
『アキちゃん、俺に、弁当作ってくれんの?』
『うん!』
『負け犬君、兄として言いたくないけど、
こいつ、目玉焼きを失敗するヤツだぞ?!』
『今から頑張るもん!』
『お前、頑張らなくていいしっ。』
『イヤだ!犬岡君の応援するんだもん。
お兄ちゃんの、バーカ!』
『お前のことを思って止めてんだぞ、
バカはどっちだ、バーカ!』
『お兄ちゃんが
俺にも作ってって言うようなお弁当、
作ってみせるから!』
『おぉ、言わせてみろよ!
そしたら付き合うどころか
結婚でもしたらいいじゃん!』
『あーっ!言ったからね!
結婚してもいいって、言ったからね!』
『…あ、あのぉ…俺は、レギュラー定着と
5本どシャットを…』
『あぁ、いいんじゃね?
それよりアキ、お前、かーさんに
こっそり作らせるとか、ナシぞ!』
『そんなズル、しないもん!
お兄ちゃんのバーカ!』
…ええと、あの…
俺の成長は、
もはや、関係なくないですか?