第25章 ~恋ネコ⑤~ 雨降りプロポーズ
『弱いって認めてんじゃん。
な、アキ、
バレーしてるヤツとつきあうなら
兄ちゃんより弱いヤツは止めとけ。』
『…』
『っつーことで、
お別れのご挨拶したら、さっさと帰れよ~。
んじゃな、負け犬君!』
お兄さん達は、
向こうへ行ってしまいました。
『…ごめんね、犬岡君。気にしないで。』
『いくら俺でも、
気にしない、わけにはいかないよ。』
『犬岡君…』
『アキちゃん、俺、アキちゃんと
付き合いたいって思ってる。
正々堂々とっ。ちゃんと、付き合いたい。』
『う、ん…』
『だから…俺、強くなる!』
『この間だって、ほら、止めたし…』
『1本2本じゃ、ダメだよ。
俺のこと、認めてもらえるくらい
ちゃんと強くならなきゃ。』
『そんな…』
『それまで、アキちゃん、俺の友達でいて。
もし俺が強くなる前にもっといいヤツ現れたら、
その時はそいつとつきあってもいい。
俺、ちゃんと強くなって、そいつから
アキちゃん、取り返すから。』
…あぁっ!俺、そんなこと言って大丈夫?!
と思うのに、止まらない口…
自分でいうのも何ですが、
俺はどこで、こんな
男気溢れる言葉を覚えてきたんでしょうか…
でも。
人生、何が幸いするかわかんねーです。
『犬岡君、あたし、犬岡君のこと
優しい人だとは思ってたけど、
今、すっごくカッコいいと思った!
ね、私からお願いしたいよ。
あたしを、犬岡君の彼女にして!』
おぁっ?!どーしたっ?!
まさかの逆告白っ?!
『あたし、燃えてきた!
お兄ちゃんに、ちゃんと言おうよ。
こそこそせずに付き合えるように。
うん、そうしようっっ。
明日、お兄ちゃんの前で宣言しよ!』
あれ。
アキちゃん、もしや負けず嫌い?
なんか、俺以上に燃えてるっぽい…
俺の心配をよそに
アキちゃんの負けん気は
本気モードに突入したらしく、
その場でお兄さんに電話をかけ、
俺達は明日、もう一度、
アキちゃんのお兄さんに
会うことになりました。
…会って、どーすんだろ?
宣戦布告?!
えーっ?そんな、大袈裟に、する?!
…アキちゃんを駅まで送り、
俺が真っ先に電話したのは、あの人。
"お兄ちゃんLOVE"な妹をもつあの人に、
"兄"の気持ちを聞いてみたくて。