第6章 ウェディングブーケ
それから数日後。
『早瀬さん、
女性誌の“アムアム“から
及川さんに取材依頼が来てます。
"今、アスリートにトキメク"っていう
テーマですけど、どうします?』
『本人がよければ、いいんじゃない?』
…その本人は
『抱かれたい男No.1じゃないの?』と
多少の文句は言っていたが、
ラグビーの三郎丸選手や
スケートの羽多選手など
今をトキメク顔ぶれの中の一人に
選ばれたとなれば、断るはずがない。
撮影は、
練習風景プラス
“彼女をデートにエスコートするなら“
という企画で、
本人が希望する場所での写真撮影だそうだ。
他の選手が、
ドライブや地元ならではのスポットを
紹介する中、
及川は"夜のお忍びデート"を希望。
しかも
『ツッキー、場所は任せる。
テキトーに選んどいて』と
丸投げだったので、
頼みやすいところにする。
…俺が結婚した時に食事会をした会場の、
最上階のバーラウンジ。
あのときのプランナーさんに
直接お願いしたから
撮影許可もすぐとれた。
もちろん、及川も早瀬さんも、
そんな理由は知らない。
別に、わざわざ言うこともないし。
仕事がスムーズにいけば、それでいい。