第6章 ウェディングブーケ
俺の言葉は、及川徹に届くのだろうか?
『多分、一番大事なのは
理想の人を探し当てることじゃなくて
タイミングよく出会えるかどうかって
ことだと思うんですよ。
そばにいてほしいと思える人と、
お互いに同じタイミングで
同じ気持ちでいられることが
どれだけ奇跡的なことかってのが
35億分の1って確率なんだと
俺は思いますけど。』
少しの沈黙のあと、及川が口を開く。
『ねぇ、ツッキー。
女の子ってさ、みんな
自分が特別じゃないってわかった瞬間に
通りすぎていくんだよね。
一人だけを特別にできないことを
わかってくれる人がいたらいいのに。
そしたら俺、
その人のこと、すっげー大事にする。』
『おっしゃってることが相当メチャメチャなので
真面目に相手にするのもバカらしいんですけど…
そういう人、
及川さんの身近にいないんですか?』
……いるデショ?