第25章 ~恋ネコ⑤~ 雨降りプロポーズ
それから半年、
俺、マジで人生で一番、
バレー頑張りました。
部の練習はもちろん、
ランニングも自主練も、
イメトレもっ。(夜の表彰式 含む。)
そんな俺を見守る山本先輩達は、
時々彼女との飯をセッティングしてくれて、
随分、普通にしゃべれるようになってきました。
そして、いよいよ、明日は試合。
しかも、彼女の大学と。
つまり、彼女の兄ちゃんと直接対決。
(試合に出られれば…だけどね。)
前の夜、四人で飯を食いました。
『私、どっちの応援、しよっかなぁ?』
『そりゃ、チアなんだから自分の大学でしょ(笑)』
『…ですよね(笑)
でも、犬岡君も頑張ってるしなぁ。』
…えぇっ!俺のこと、気にしてくれる?!
その時。
『ねぇアキ、もし犬岡君が明日、
一瞬でもかっこよく見えたら、
二人でデートしてみれば?』
…山本先輩の彼女が、
結構、乱暴な提案をっ?!
『ええっ?』←俺
『おおっ!』←山本先輩
『うんっ!』←アキちゃん
えっ?!
『アキちゃん?』
『犬岡君、明日、もし
お兄ちゃんのスパイクを止められたら
デートしよ!
お兄ちゃんよりカッコいいとこ、
見せてくれたら、ね!』
『止めて、いいの?』
『止めれるならっ。』
片目をパチンと閉じて俺にウィンクを。
…最高級のエール!
翌日、俺は、スタメンに選ばれました!
相手のエースはアキちゃんのお兄さん。
スタンドのチアの中でも一際輝くアキちゃん。
山本先輩達も応援に来てくれて。
舞台は、最高。
いつやるの?いまでしょ!!
ノッた時の俺は、止めらんねーよ、
…いや、MBは止めなきゃダメじゃん(笑)
止めるよっ!!止めまくるよ!!
最初は緊張や不慣れもあって
なかなかうまくはいかなかったけど、
チームの調子もよくて
チャンスは山ほどある。
3セット目、最初にあがった
アキちゃんのお兄ちゃんの1本。
"バンッ"
…と、止めた?の…俺、だよなっ?!
思わず、敵方のスタンドをチラ見すると、
アキちゃんの手の
キラキラ光るチアポンポンが
犬のシッポみたいに小さく揺れてる。
あれ、俺に向けてのサイン?!
そばにいる山本先輩たちも
OKマーク出してくれてっし!
俺、決めちゃった、のかなっ?!