第25章 ~恋ネコ⑤~ 雨降りプロポーズ
…食事が終わって、
アキちゃんは、
山本先輩の彼女に見送られ、帰っていきました。
『…山本先輩っ、』
『そーだ犬岡、やるしかねーだろ!
レギュラーの座、勝ち取れ!
お前だったらやれるってば!』
『そうですよね!?
やるしかないし、やれなくないですよね!』
『当ったりめーだ!
好きな女のために頑張るって
最高のガソリンだろーが。
いいか、犬岡、目を瞑って想像してみろ!』
『目?は、はい…瞑りましたっ!』
『イメージしろよ…
いいか?
ここは試合会場でお前はスタメンMBだ。
観客席には、アキちゃんが来てる。
兄ちゃんは相手のエーススパイカー、
そのエースにトスがあがった!
犬岡と直接対決の瞬間だ!
さぁ、お前は、今、
彼女の兄ちゃんのスパイクをっ?』
『…ぁあっ、ブチ抜かれましたっ!
お兄さん、なかなかっす…』
『バカっ!なんで止めねーんだっ!?』
『だって兄ちゃんの止めたら
俺、悪者になりません?!』
『…こまけーなっ、
イメトレなんだから止めろやっ!
ま、いいや…次いこ、次。
今度は、ライトにトス、あがって、
犬岡、追い付いた、さあ、これはっ?!』
『どシャット~!!止めましたっ!!』
『そーだ!彼女は"犬岡君♥"と
瞳をハートにしてお前を見ているっ!』
『お、俺は、彼女にだけわかるように
こっそりウィンクをっ!』
『そーだ!試合後、彼女はきっと
お前にこう言うぞ。
"犬岡君、あなたに惚れちゃった♥
勝利のお祝いに、私を召・し・上・が・れ"』
『…い、言いますかねっ?』
『言う言う!
そしていよいよ、
お前の股間のトロフィーに
彼女の濡れた金メダルをかける
二人だけの夜の表彰式が始ま…イテテテッ!』
慌てて目を開けると、
山本先輩が、戻ってきた彼女に
耳をつねられていました。
『こ~ら、とらちゃん!
君のアホな妄想、後輩に伝染させないっ(笑)
犬岡君、でも、彼女もホントに
試合、楽しみにしてたよ。
レギュラー狙って
アピールする価値はあるんじゃない?』
…そう言われると、
なんか、やれそうな気がするっす!