第24章 ~恋ネコ④~ ゆったりプロポーズ
言ってることは
結構ギラギラしてるけど、
まるでお坊さんの説教のように
淡々と静かに語るから
全然、イやらしく聞こえない。
彼の見た目からか、
その時私は
"よし、煩悩と素直に向き合ってみよう"
なーんて、
自分の欲望を都合のいい言葉に変換して
彼に身を任せることにした。
…前の彼は、すごく普通の人だった。
収入も、人柄も、セックスも。
私自身がそういう人間だから
それになんの疑問も持たなかったのだけど
違うのね。
私、本当はそういう女じゃなかったらしい。
…伸行の、
いたって常識人な知性と
天然で自由すぎる煩悩の
絶妙なバランスが
たまらなく魅力的に思えて。
夜の会社でセックス。
いいじゃない。
社内の人とつきあわないと
なかなか出来ない冒険。
せっかくだ。
シチュエーションと彼のヤル気、
この機会に楽しもう。
そう思ったから、
私から彼の首に両腕をまわし、
キスをした。
『…大人のセックスにしてね。』
『ご期待に添えるかどうか。』
『私も、楽しむよ?』
『もちろん。』
…自分でも驚く。
最初から、なんでこんなに
安心して身を任せようと思えるんだろう。
日頃の彼の人柄?
とにかく私はワクワクしてた。
セックスするのに
ワクワクするのは
初めてで。
とりあえず、
やってみないとわかんないけど
私はこの人に、きっとハマる。
そんな予感がする。
その始まりの、キス。
濃厚で、たっぷりと。
呼吸が苦しくなるほど
吸いあい、舌をからめあう。
背伸びする私を抱き止める手が
ブラのホックをはずす。
ブラウスはそのままなのに。
器用すぎる。
…窮屈そうにブラウスの中で
ゆるりと肩から落ちる紐。
思わず、キスをほどいた。
『器用ね。』
『不器用じゃないね。』
合意の上のセックスだ。
無駄な抵抗や恥じらいなど、今さら、ない。
自分でブラウスのボタンを外した。
『こういう時、脱がす派?脱がさない派?』
『この環境なら、脱がさない派、かな。』
『じゃ、このまま…犯して。』
あーあ、言っちゃった。
こんな言葉、一生、自分の口から
出ることないと思ってたのに。
言っておきながら、自分で興奮するわ。
『早瀬さん、大胆だね。』
『今の今まで、自分でも知ら、
…ぁん、ぃゃ…』
いきなりあの唇が、
頂きに、吸い付いた。