第24章 ~恋ネコ④~ ゆったりプロポーズ
まさか、
あの時のキスの続きだって
思いもしないから。
迷わず進む彼についていき、
そこが、もう誰もいない会社で、
なおかつ、会議室に入った時は、
本当に、仕事の事後処理か何かだと思った。
電気をつけようと
スイッチに伸ばした手を
グッと捕まれる。
『明るい方が、好き?』
?
『明るくすると、外から見えるよ?』
??
カチャリ。鍵のかかる音。
暗がりのなか、逆光の、彼。
こんな状況なのに、
全然、緊張感は、ない。
え?!そういうこと?
まじで?
いいよ、いいけども。
『り、律儀にここで続きしなくても、
いいんじゃない?せめてホテル…』
『ホテル行ったら、止めれないから。
ここなら、早瀬さんが嫌がれば
俺、すぐ止めるし。』
『ヤじゃないけど…でも、会社…』
『俺、一人の人と長く付き合いたい派。』
この段階では、まだ意味不明。
『へぇ…てか、はい?』
壁ドンまで、あと50㎝?
…結構、あるな(笑)…
なのに、
静かに語られて、身動き、とれません。
もう、猫に食べられる直前のネズミ。
『だから、最初から、
いい人ぶらないようにしようと思ってる。』
『どういうこと?』
『つきあいたい人には、
最初から気持ち全開でいく。
ダメだったら、即、断ってもらってOK。』
…結構、勝負師なのね…
『…でも、それと、
今、会社でシようとしてることの関係が、
イマイチ…』
『あの日、時間があったら
ここで告白するつもりだったから、
やり直しもここで、と思って。
それに…もしつきあいOKしてくれたら、
…あ、どう?ダメだろうか?』
もうっ!
この人、天然?
それとも、天才?
"もしOKしてくれたら"の
先が気になって気になって
断れないっ!!
『わかった、いいよ、とりあえず、OK。
…OKしたら、何なの?』
答えより先に、
唇を食べられた。
たっぷりと。
そしてやっと聞けた、続きの言葉。
『一回、してみたくて。
会社でこっそり、セックス。』
…多分、この段階で
"この、変態、変態っ!"
という全面拒否派と
"なに、面白いじゃん、この人"
という興味津々派に
割れると思う。
私は…後者だった。
いかにも賢そうで、
むしろ堅物そうな彼の
意外な冒険魂(?!)にハマった。
ギャップ萌え、って、
こーいう感じ?