第23章 ~恋ネコ③~ あと出しプロポーズ
翌日は、朝からドキドキしてました。
父からいつ、連絡があるか
全くわからなかったからです。
初日はさすがに
父も自分の仕事が最優先だろうから、
そうそう早くは連絡もないはずだと
わかっていても、気になって気になって。
お昼休みにスマホを取り出すと、
ゆーき君からLINEがきてました。
"おとうさんから連絡あった?"
…なんだか、会うのを楽しみにして
くれてるみたいで、申し訳ない気持ち…
"まだ、ない。"
"来られたら、必ず僕に連絡してね。"
"うん"
…どうなるんだろ。
不安しか、浮かばないよ…
その日は、仕事が終わったら
一目散に家に帰りました。
もし電車の中とかで電話が来たら
落ち着いて話せない、と思って。
そして、
駅から家に向かって歩いていた時、
きました。
滅多に私のスマホの画面に出ることのない
"おとうさん"の文字。
き、緊張する~。
妹から先に連絡があったことは
ナイショなので…
びっくりした感じで出なくちゃね。
『もしもし、お父さん?
なんね、突然。なんかあったと?』
『アキ、
お父さん、今、出張で東京に来とってな。
ちょっとでも顔を見れんかと思って。』
『ええっ、そうやと?急にびっくりする~。
先に教えちょってくれたらいいのに。』
…なんて小芝居などしてみたりして。
お父さん、娘は7年の都会暮らしで
ほんの少し、嘘をつくことも覚えました。
でも、ポロッと方言が出ちゃうのは
やっぱり家族相手の安心感、かな…
『今、どこにおると?』
…父は住所を頼りに
今、うちの近くの喫茶店にいる、と。
喫茶店に私が行っても構わないんだけど…
でも、
話が冷静に進まない可能性も考えると
やっぱり家の方がいいかも。
そう思い、
家に来てもらうことにしました。
大丈夫、大丈夫。
お父さんだって
ケンカしに来たわけじゃないし
私だって、
もう反抗期の女子高生じゃないんだから
ちゃんと、話せるはず。
ゆーき君は、
親に紹介するのに
何一つ心配なことはない、
私の大切な人で、
私のヒーローだから。