第23章 ~恋ネコ③~ あと出しプロポーズ
ある日、ゆーき君とデート中に着信が。
妹からです。
滅多に電話なんてかけてこないのに…
両親に何かあったんじゃ?!
『ゆーき君、妹からだ。ごめん、
電話、出させてね。』
後ろを向いて繋ぐと
妹の、小さな声が。
『もしもし、お姉ちゃん、』
『急にどうしたと?
何か、あったとね?!』
『今、家なんやけどさ、
お父さんとお母さんが話してるのが
聞こえてきたから、とりあえず
お姉ちゃんに教えておこうと思って。』
…イヤな想像しか思い浮かばない…
『なぁに?』
妹の声は、さらに小さくなります。
『あんね、お父さんが、
明日からの出張のついでに
お姉ちゃんの所に寄ってみるつもりらしいよ。
…彼のことも知りたいみたいや。
"遊びでつきあってるんだったら許さない"
とか言っとる。』
ひょえ~!
お父さんの顔が目に浮かぶようです。
『いつ、来るんやろ?』
『出張は、明日から3日間みたい。
その中のいつ行くかまでは、
今の話じゃわからんねぇ。
お母さんが必死になだめよるけど…
お父さんは本気でお姉ちゃんのとこ
行くつもりやね。』
『…わかった。教えてくれてありがと。
おかげで心の準備が出来るわ。』
『…頑張ってね、私、
お姉ちゃんの味方やし。でもさ、』
『ん?』
『お父さんも、
頭ごなしに怒ってるわけじゃ
ないんやろうとは思うとよ。
やっぱり、心配なんやろうね。
ただほら、何ちゅーかさ、』
うん。わかるよ。
『表現方法が下手ってことやろ?』
『そうそう!
優しい顔で心配とか出来んとよね~、照れ屋!』
『うんうん、よぉわかる。
ちゃんと、話せるように頑張るから。
…うん、ありがと。お母さんによろしく。
じゃあね。』
通話を切り、ため息をひとつ。
父が、やって来る。
どうしたもんか。
曲がったことが嫌いな父。
長期戦の構えで、
正面突破で挑むしかないかな…
確かに、悩みどころです。
ゆーき君に相談したらきっと心配する。
その前に、まず私と父がちゃんと
向かい合って話すべきだよね。
いきなり紹介なんかして
その場の空気が凍ってしまったら…
今回はとにかく父に話を聞いてもらって、
ゆーき君のことを少し知ってもらって、
次の連休の時にでも
ゆーき君に、実家まで来てもらおうか。
実家なら、母と妹という味方もいるし。
うん、そうしよう!