第23章 ~恋ネコ③~ あと出しプロポーズ
初めての彼に、
初めての失恋をした私。
立ち直り方がわからなくて、
一人で泣いて、
朝、びっくりするほど目が腫れてて
しょうがないから
メガネをかけて大学に行って
それでも、小さなことでまたすぐ
彼のことを思い出して泣きたくなって
こんな状態で誰にも会いたくなくて、
講義は全部、開始ギリギリに行って
出口に一番近い席に座って、
終わったらすぐに教室を出て、
ランチも食べずに図書館で過ごして、
午後の講義が全部終わったら
一目散に家に帰りました。
失恋って、こんな気持ちになるんだね。
ご飯も食べたくなくなるし、
涙は突然、あふれてくるし、
自分のことが嫌いになるし、
眠ろうと思っても眠れない。
立ち直れる日が来るのかな?
みんな、どうやって
次の恋を探すのかな?
この世の中に、私のことを
好きになってくれる人、
いるのかな?
私はまたいつか、
誰かのことを
好きになれるのかな?
沈んでいく太陽。
西陽で、部屋が
濃い茜色と黒い影に覆われていくのが
なんだか恐ろしくて、
電気をつけようと立ち上がったその時。
"キンコーン"
玄関のチャイムがなりました。
返事はしないでモニターを見ると…
ゆーき君。
『アキちゃーん。いないの?』
いる。
いるよ。
すぐに玄関ドアを開けると、
そこには、ゆーき君…が…いて…
『アキちゃん、大丈夫?何があった?』
やっぱり、ヒーローだ。
私のピンチに駆けつけてくれる
たった一人のヒーロー。
そう思ったら
また涙が溢れて溢れて…
玄関先で声をあげて
泣いてしまいました。
『ごめん、お邪魔するね。』
こんな時でもきちんと一声かける
礼儀正しさは、彼の育ちのよさ。
そして、
私の手をとると部屋に連れていき、
なにも聞かずに、
泣いてる私の背中を
ずっとさすってくれました。
嬉しかった。
私のことを心配してくれる人が
世界に一人はいるってこと。
そう思ったら、
少し、気持ちも落ち着いて…
『ゆーき君、』
泣き腫らした顔に
グズグズの鼻声…
情けないけど、ちゃんと、話さなきゃ。
『わざわざ来てくれて…何か、用だった?』
『今日、ずっと様子おかしかったよね?
電話しても出ないし…
具合悪いのを我慢してるんじゃないかって
心配になって、来てみた。』