第22章 ~恋ネコ②~ ダメ出しプロポーズ
アッキーとつきあい始めて四度目の春。
休みの日、
二人でツーリングに出掛けました。
もう皆さん、
お気付きだと思いますが
俺は、荷物の片隅に指輪を入れて。
二人でバイクを走らせ、
春の味覚を楽しんで、
いっぱい笑って。
そして帰り道。
『な、アッキー、
あの桜、まだ咲いてねーかな?』
『あ、どうだろ?
ちょっと回り道してみる?』
それぞれの愛車を
春の野道に走らせながら
俺はあの日のことを思い出してました。
初めて行ったとき
アッキーのバイクの後ろで
ガチガチになったっけ。
告白断ったら、
殺されて埋められるんじゃねーか、
なんて思ったもんな。
あの日と同じように少し肌寒い風。
咲いててくれたらいいな…
咲いてなくても、今日、言うけど。
今、俺の心は
すごくスッキリしてます。
他の人には全然、関係ない日。
他の人には全然、関係ない場所。
ここを、俺たちだけの思い出にする。
そうやって決めて待ってた4か月。
一言もプロポーズのことに触れず
待っててくれたアッキーに
気持ちを伝えるなら、ここ。
俺の想い、花開きますように…
遠くの山際に夕陽が沈む少し前、
そこに到着しました。
あぁ、よかった。
舞台は、最高だ。
黄色い、菜の花。
満開の、サクラ。
空を染める夕陽。
バイクにまたがったまま
メットを脱いだアッキーが
桜を見上げて声を上げます。
『とらちゃん、来てよかったね!
夜桜もいいけど、夕陽も、いい!』
その後ろ姿。
相変わらずヤンチャで凛々しくてかっこいい、
…俺の、姫。
『毎年、来ような。』
『え?』
…かけたままのエンジンで
声が聞こえないみたいだから、
おっきな声で、言う。
ここ、誰も、いないから。
『アッキーーっ』
バイクにまたがったまま、
振り向くアッキー。
『結婚、しようっっ!』
『…とら、ちゃん…』
バイクを降りて、アッキーのもとへ。
防寒用の分厚いグローブをはずし、
その左手に、指輪をはめます。
あの日、
イルミネーションの輝きを
うつせなかった指輪が
今、夕陽のオレンジ色に染まって…
桜だけが知ってるプロポーズ。
『アッキー、今日のプロポーズは?』
『うん、100点!』
…姫の笑顔も満開。
俺は今、最高に幸せです…