第21章 ~恋ネコ①~ 真っ直ぐプロポーズ
アキちゃんが言う。
『…みんな一斉にプロポーズしてたけど…
成功率、100%やったんやろか?
こんなところで"ごめんなさい"とか
言われたら、男性はキツいよね?』
『ホントだよ!
俺だったらショックで、
このまま東京湾に飛び込むかも。』
『えぇと…リエーフ、泳げる?』
『実は泳げない…
俺を飛び込ませないでくれて
ありがと、アキちゃん!』
『あぁ、よかった!
危なく年末は喪に服すことになるとこやった!』
『…違う、アキちゃん!
そこは、喪に服すんじゃなくて、助ける!
ほら、こんな立派な船だからさ、
救命ボートとか、救命胴衣とか、あるはずっ』
『あぁ、そっか(笑)覚えとく。
いつでも飛び込んで大丈夫だよ!』
『…アキちゃん、その前に、
俺を飛び込ませないでぇっ(笑)』
クルーズ船は
スタートした場所に近づいていく。
『リエーフ、
最高のクリスマスをありがとう。
一生、忘れんからね!』
左手を空に向けて掲げ、
指輪を光らせるアキちゃん。
星は見えない都会の空。
眩しいイルミネーションのなかでも
ひときわ輝く俺の彼女にふさわしい、
左手の輝き。
…あぁ、この
素直で優しくてかわいいアキちゃん、
来年のクリスマスイブには、
俺の奥さんになってるんだな。
嬉しくて幸せで、
もう一度抱き締めて、キスをした。
うさぎのようなモフモフが
俺の頬をくすぐる。
『アキちゃん、
クリスマスイブはまだまだ続くよ。』
『…そうなの?まだどっか行く?』
『うん、うさぎを食べに。』
『うさぎ?まだ食べるの?』
『うん!』
…朝まで食べ尽くすからね、
覚悟しててよ、
俺のかわいいうさぎちゃん!…