第21章 ~恋ネコ①~ 真っ直ぐプロポーズ
ぐったりと落ち込む俺の顔を
下から見上げるアキちゃん。
『…ね、リエーフ、』
『…ん?』
『私も、言ってほしいなぁ。』
『?』
『みんなと同じこと。』
『…え?』
『じゃないと、私から言うけどいいと?
リエーフ、私、リエーフと、結…』
『ちょちょちょちょちょ、
ちょっと待って、アキちゃん!』
『いやだ、待てん。
リエーフが言ってくれんなら私が言うもん。
こんなステキなデート準備してくれたんやから、
ちゃんと気持ち、伝えんと。』
…アキちゃん?
『みんなと同じでいいやん!
みんな、それぞれが世界一の人やっちゃもん。
世界一の気持ちを伝える言葉なんて
そんなたくさんは、ないやろ?
おんなじ言葉でも、
誰が言うかが大事やから。
私は、リエーフに、言ってほしい。
シンプルがいい。普通がいい。ね?』
アキちゃん…
ニコニコしながら、
俺の言葉を待ってる。
俺の世界一が。
言葉は同じでも、
ここにいる誰もが、
自分だけの世界一を瞳に映して、
その人だけのために勇気を振り絞る。
俺も。
アキちゃんだけに、伝えるよ。
指輪の箱をホタテのように(笑)
パカッと開いて言葉を添える。
『アキちゃん、
僕と、結婚してくださいっ!!』
キラキラッと笑顔を光らせるアキちゃん。
『こちらこそ、よろしくお願いします!』
左手をとり、指輪をはめて…
人目もはばからず、キスをした。
外国人顔でよかった。
こういうシーンが絵になるだろ?!
無事にプロポーズを終えたカップルが
少しずつ席に戻りはじめ、
さっきまでバーゲン会場のようだったデッキは
人混みが消えて、嘘のように静かになる。
…なーんだ、焦らずに今まで待ってれば
ロマンティックに出来たのか。
でも、いいや。
アキちゃんの言葉が聞けたから。
"皆と同じ言葉を、
私はリエーフに言ってほしい。"
あれは、アキちゃんから俺への
プロポーズだったんだな、きっと。
真っ直ぐな視線と言葉に救われた。
さすが、俺のアキちゃん!