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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第21章 ~恋ネコ①~ 真っ直ぐプロポーズ


一言で言うと、
デッキは、食事を終えたカップルの
晴れ舞台と化していた。

…俺と芝山は
名案を思い付いた自分達のことを
天才だと思ったんだけど
みんな、
考えることは一緒だったらしい。

彼女と手を繋ぎ、
または肩を抱き寄せ、
夜景をバックに
まさにこれから勝負に出ようという
男達の心臓の音が
あっちからもこっちからも
聞こえてきそうだ…

と、とにかく、
前へ、前へ。
場所を確保しないと。

このままだと、出入り口の前、という
とてつもなく邪魔扱いされそうな
場所しか残ってない。

この船のベストポジションは
デッキの最後部のはず。
過ぎていく夜景がぐるりとついてくる。
エンジン部分からも離れてて
騒音も少ないらしい。


『チョット、スンマセーンネ』

…こんな時は、
日本語が苦手なロシア人のふりをする。
そしたらみんな、なんとなく振り向いて
なんとなく道をあけてくれるはず…

やっと目的の場所に着いたとき、
デッキに出てきたアキちゃんが見えた。
俺を探してキョロキョロしてる。

この人混みのなか、
小さな彼女は埋もれてしまいそうだ。

『アキちゃーーーんっ!』

出来るだけ高く手を伸ばして、
…ここにいるなかで
一番背が高いのは間違いなく、俺だ…
アキちゃんを大きな声で呼ぶ。

周りのヤツラから

『おい、今から大事なとこなんだから
静かにしろ!』

…的な目で見られたけど、そんな遠慮、
してる場合じゃないっつーの。

人混みの間をちょこちょこ進み
やっと俺の前にたどり着いたアキちゃん。

『す、すごいね…』

『…うん…』

あの、ふっくらした
有名グルメレポーター風に言うなら

『プロポーズのバーゲンセールやぁ。』

…右も左も、 向き合う男女。

男達の手の中、
まるで焼きたてのホタテのように
あっちでパカッ、
こっちでパカッ、と
指輪の箱が開く。

そして
乱れた山びこがこだまするように
同じ言葉があちこちで。

『結婚しよう』
『結婚しよう』
『結婚してほしい』
『結婚してほしい』

…う~ん、
みんな、同じこと考えんだな…

なんか、出遅れた。
やりづらさ、ぱねぇっつーか…

どうしよう…

さっきまで
俺が世界の中心だと思ってたのに…

とんでもない one of them 状態に、

俺、意気消沈。
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