第21章 ~恋ネコ①~ 真っ直ぐプロポーズ
そうなんだ。
同棲してると、
プロポーズするタイミングって難しい。
家の中とかじゃなくて
ドラマティックだったり
ロマンティックだったり…
そんな心に残るようなプロポーズに
したいんだけどさ、
もう、毎日一緒に暮らしてるから
あんまりそういうチャンスがなくて。
なんか、ズルズルと毎日が過ぎていた。
そんなある日。
会社で昼休みにネット見てたら
"今、モテるのは、方言女子!
やわらかな言葉が男心をくすぐる!"
…という見出しを見つけてしまった。
…や、ヤバイ。
アキちゃんが、ヤバイ。
アキちゃんが
モテモテになったらどうしよう!
皆がアキちゃんの魅力に
気付いたらどうしよう!
早く、
早く、アキちゃんを、
俺のお嫁さんにしておかないと!
それで一気に火がついた。
俺、プロポーズする。
うん、プロポーズするんだ!
するんだけど…
いつ、どこで、どうやって?
…こういう時は
とりあえず経験者に相談かな、と思って
福永さんに連絡してみた。
俺とアキちゃんが出会ったのは
福永さんの結婚式の二次会だったし。
『福永さんは、
どんなプロポーズしたんスか?』
『俺?フツーだよ。
彼女の誕生日のデートに
何気に夜久さんとこの会場のレストランで
食事して、
その帰りに"ついで"みたいな感じで
会場とか見学させてもらって
"ここで結婚式挙げようよ"って言っただけ。
指輪?うん、その時、渡した。
夜久さんが手伝ってくれて。
俺達がチャペルに入ったとき、
リングピローに乗せた指輪が
宣誓台の上にのっかってて、
そこだけスポットライトで
照らされてたんだよね。
スッゲー、キレイだったなぁ。
俺まで感動でゾクッとして、
一瞬、自分がプロポーズすんの
忘れそうになったもんなー。』
…な、なんだと~!
全然、フツーじゃないっ!
それって、超、いいじゃん!
…それが"フツー"だったら、
俺のノーミソじゃ、
到底、それ以上なんて
考えつかねぇっす!
…しかも、
アキちゃんの誕生日は、
先月、過ぎたばっかりだし。
それを待ってたら、一年先だ。
待てるわけない!
…次のチャンスは?
次は…次は、
クリスマス?
そうだ、クリスマスだ!
恋人達の聖なる夜に、
とっておきのプロポーズを!