第7章 大好きなともだち【日向ヒナタ】
「ねぇ、よかったら一緒にお弁当食べない?」
「え…?」
目の前でにこにこと笑うその子は、柔らかい栗色の背中まであるサラサラの長い髪と色素の薄い大きい瞳が特徴の、笑顔が似合うとても可愛い小柄な女の子だった。
消極的な性格に加え、”日向”の名のせいもあってか、アカデミーに入っても一人浮いていた私に、初めて声をかけてくれたのがその女の子…リエちゃんだった。
「今日天気もいいし、お外で食べたら気持ちいいよ!」
「え…あ…うん…」
真っ直ぐで綺麗な瞳に見つめられ、気が付いたら私は頷いていた。
ずっと、周りの大人達からの、同い年の子供達からの、皆の自分に向ける感情が、視線が怖かった。
期待、羨望、落胆、妬み、嘲笑……
それら全て自分に向けられているようで、それから逃げるようにいつも下を向いていた。
でも、リエちゃんからはそんなものはひとつも感じられなくて。
なぜだかわからないけれど、話しかけられているだけで心が温かくなった。
いいなって、心から思ったんだよ。
この子と友達になれる子は幸せだろうなって。
友達に…なりたいなって。