第3章 オレの好きな人【うちはサスケ】
「ただいま」
「おかえりサスケ。お疲れ様」
いつものように一人で修行して家に帰ると、いつものように玄関までリエが迎えに出てくれる。
でも、ひとつだけいつもと違うことがあった。
「……どうしたんだ、その髪」
あまりにも短くなったリエの髪に、驚きが隠せない。
だって、アカデミーまではいつも通りで。
髪切りたいとも、なんとも言ってなかったのに。
「その…なんか急に…切りたくなって、ね」
嘘だ。
目を泳がせて、オレの目を見ようともしない。
あまりにもわかりやす過ぎる。
「…自分で切ったのか?」
「え?!あ、うん」
「それにしては綺麗に揃ってるけど」
「う……あ、そう!自分で切って失敗しちゃって、友達に整えてもらったの!」
「……………。本当か?」
「ほ、本当…だよ…」
……これは、オレが何言っても口を割らないつもりだな。
リエがこうやって見え見えの嘘でもつき通そうとするときは、たいていの場合が真実を知ることでオレが傷付くか、怒るとわかっているときだ。
今回はきっと、後者。
不慮の事故か何かで仕方なく切るはめになって、オレがその原因をつくった奴を責め立てるとでも思って庇っているのだろうか。
でも…それだったら違う言い方をするような気もする。
まさかイジメ…?
いや、それはないか。
リエは好かれこそはしても、嫌われるような人間ではない。
友達とふざけていて、切るしかない状況に陥ったとかか?
……とは言っても、リエがいつも一緒にいる奴はそういうタイプじゃねーし…
修行中手が滑ってクナイで切った…?
…………いくらなんでもそれはないか。
色々考えはするけど
結局は言ってくれなきゃわかんねーよ…