第1章 これからも、ずっと【イタチ&サスケ】
12月31日。
うちは家でお世話になるようになってから、二度目の年末がやってきた。
今年はフガクさんとミコトさんが一族の集会で留守にしているから、イタチとサスケと私の三人だけの年越し。
皆でワイワイ賑やかなのも好きだけど、大好きな人と静かに過ごすのもいいなぁって思う。
ミコトさんが作っておいてくれた夕飯を三人で食べて、片付けてからのんびりコタツに入ってくつろぐ。
コタツで食べるミカンは、やっぱり最高に美味しい。
「年が明けるまであと四時間だ」
サスケはさっきからチラチラ時計を見て時間を確認している。
サスケは去年、年明けの前に眠ってしまったのが相当悔しかったみたい。
私も寝ちゃったから、今年は起きてたいなって思ってる。
一番に大好きな二人に「今年もよろしく」って言いたいし、言ってもらえたら幸せだな。
「サスケ、そんなに頻繁に時計を見ても、時間はすぐには進まないぞ」
イタチは剥いたミカンをサスケに差し出しながら、そう微笑んだ。
けれどサスケは、そんなイタチに対して不機嫌そうに眉を寄せる。
「…兄さん、ミカンくらいオレ自分でむけるよ」
子供扱いされたみたいで嫌だったのかな?
負けず嫌いだからなぁ、サスケは。
「でもサスケ、イタチがむいてくれたミカンも美味しいよ。白いところ全部取ってくれてるから、したざわり?がとってもいいし」
実は今私が食べているミカンも、イタチがむいてくれた。
夕食前に「コタツでミカン食べたいな」と言ったのを覚えててくれて、片付け終わってコタツに入るなり「お疲れ様」と食べやすく剥いてくれたミカンを渡してくれたイタチ。
イタチの優しさが、とっても嬉しかった。
”コタツでミカン”の美味しさも、イタチのおかげで倍増した気がする。
「舌触りなんて表現が出来るなんて、リエは難しい言葉を知っているんだな」
すごいな、と言ってイタチは頭を撫でてくれた。
えへへ、フガクさんの真似して言っただけなんだけどね。
イタチに褒められて嬉しくてニコニコしていると、
目の前のサスケはしかめっ面でこちらを見ていた。
少し頬っぺた膨らませて、可愛いなぁなんて思ったのは私だけの秘密。