第11章 Shall we dance?*ルイ
舞踏会の前日。
夕食後ダンスホールで、一人でダンスの最終チェックをしていた。
メロディーを口ずさみながら、ルイの言葉を思い出しながら、ステップを刻んでいく。
すると、足が縺れてバランスを崩してしまった。
「きゃっ…!」
すると、ふわりと後ろから体を支えられた。
振り向くと、そこには。
「、大丈夫?」
「ルイ!どうしてここに?」
後ろから抱き留められる形に気が付いて、急に顔が熱く火照った。
ルイはそんな私の様子には触れず、淡々と言葉を返した。
「明日の舞踏会に備えて、今晩は滞在させてもらうことになったんだよ。ダンスホールの灯りがついてたから見に来たんだけど…。」
やっと熱が収まり、ルイの方に体を向けしっかり目を見ることが出来た。
「そっかぁ…。ありがとう。大事な日の前に転んじゃうところだった。」
「こんな時間までダンスの練習?」
ルイは時計を見て、少し首を傾げている。
「うん。…やっぱり少し不安だから。」
たくさんレッスンしてもらってるのに、不安になってしまっている自分が情けなくて。
思わず俯いて、自分の足元を眺めた。
「…これから、復習する?」
思わぬ提案に、私は顔を上げてルイを見つめた。
「いいの!?ルイ疲れてるんじゃ…。」
「いいよ。がここまで頑張ってるんだから。」
そっとルイが私に手を差しのべる。
その手をとると、ルイは私の腰に腕を回した。
二人きりのダンスホールでカウントをとりながら、ステップを踏む。
こんなに近くにいられるのが嬉しくて。
ついつい顔がにやけてしまう。
背筋を伸ばすと、ルイの顔が近くなる。
私の顔を見て、またあの柔らかな微笑みを向けてくれた。
一通り確認して離れようとすると、ルイは私の手をぎゅっと握って離さない。
「ルイ!?」
握られた手からルイの温もりが伝わってきて、ますます私の鼓動を早くさせた。
「もう十分踊れてるよ。…特に指先が綺麗だ。この手でダンスを誘われたら断れない。」
綺麗、だなんて。
彼の一言で私は指先に絶対的な自信を持ってしまった。