第10章 始まりの合図*レオ
「私が意識してるの気付いてたの!?」
私はレオの腕の中から彼の方を見上げた。
「ちゃん素直だから分かりやすいんだよ。…同じ気持ちなんだな、って思って嬉しかったけど。」
「レオは気持ち隠すの上手過ぎて、ちょっと不安になっちゃった。私ばっかりなのかなって。」
少し悔しくなって、私はレオからふいっと目をそらした。
すると、レオは私の顔を覗き込むようにして、またその瞳で私を捉えた。
「先生の時は格好よく見られたいからね。…でも今はちゃんの何?」
そんなの答えはたった一つだけ。
「…旦那様。」
「うん。改めて言われるとやっぱり実感するね。…は俺の奥さんだって。」
すると、レオは私の顎を持ち上げ段々顔を近付けてきた。
瞬きをした隙に、二つの唇が重なっていた。
優しいキスを何度も繰り返されて、頭の中はレオでいっぱいになる。
私の髪にレオの手が置かれ、片腕で強く抱き締められた。
それから次第に吸い付くようなキスになり、唇の隙間から自然と舌が入り込み私のそれを絡み取る。
「…んっ……、ふ。…レオ……。」
息がうまく出来なくて、やっとの思いで名前を呼ぶと、ようやく唇が離れた。
だけど、やっぱり彼から目をそらすことは出来なかった。
今にも口づけされそうな距離で、レオは私に囁いた。
「、愛してる。…俺を選んでくれてありがとう。」
レオは他の誰にも見せないだろう幸せそうな笑みを浮かべていた。
そんな彼の言葉に応えたくて、私も彼に顔を寄せて呟いた。
「…私のこと好きになってくれてありがとう。」