第8章 あなたがくれたもの*ゼノ*レオ*ジル
<レオ×つば広フレアハット>
久しぶりの休日に、先日無事に幕を開けたオペラ座にレオと一緒にやってきた。
「ちゃん、念願のオペラ鑑賞だね。」
「うん!ずっと楽しみにしてたんだ。レオ、付き合わせちゃってごめんね?」
「俺はちゃんが望むならどこへでもお供するよ。」
何事もないかのように出てきた彼の言葉に、いつものことながらドキドキさせられる。
今日は彼がくれたフレアハットをかぶっている。
「その帽子、かぶってきてくれたんだね。」
「うん。だってレオからのプレゼントだし…それに……。」
彼がどうしてこの帽子をくれたのか、その理由を思い出すと顔が熱くなる。
「それをかぶってきたってことは、いいってことだよね?」
顔を真っ赤に染める私をどこか嬉しそうに眺め、彼は何かを企むような表情を浮かべていた。
初めて間近で鑑賞したオペラは本当に素晴らしくて、心に深く染み込んでいった。
舞台の照明が消え、劇場が真っ暗になった瞬間。
頬に大きな手の温もりを感じ 、正面から左側へと顔の向きを変えられた。
私の膝の上に置かれた帽子がするりと手の中から抜けて、顔に何かが触れて覆われた。
唇に柔らかな感触と甘い熱を感じて。
それはいつも私を幸せな気持ちにさせてくれるものと同じだった。
「…言ったでしょ?こうするためにあげたんだって。」