第7章 あなたがくれたもの*アラン*ルイ*ユーリ
<ルイ×メリーゴーランドのオルゴール>
公務を予定通り終え、長い一日がようやく終わりを告げようとした。
「そういえば、ハワード卿は先に公務を終えられてご自身のお部屋にいらっしゃるようですよ?」
ジルが書類をまとめながら、さりげなく私に教えてくれた。
その言葉を信じて、ルイの部屋の扉をコンコン、と叩いた。
返事が返ってこないので、静かに扉を開き部屋の中に足を踏み入れた。
「ルイ?」
すると私の視界に、ソファに掛け俯いているルイの姿が飛び込んできた。
傍には、オペラ座が出来た記念にと二つプレゼントされた、メリーゴーランド型のオルゴールの片割れがそっと置かれていた。
私と彼、お互いに一つずつ飾っている、世界に二つしかないオルゴール。
私は彼の頬に優しく唇を寄せた。
「…ただいま。」
すると、すっと腕が伸び、彼が私の腰を自分の方へ引き寄せた。
「おかえり、。…ごめん、ちょっと寝ちゃってた。」
うとうとしながらも待っていてくれた彼に愛しさを感じ、そのまま彼の頭に腕を回した。
「ううん?私こそごめんね?遅くなっちゃって…。」
頭を撫でると、柔らかくてキラキラ光る黄金色の髪の感触が心地よかった。
「ここ座って?」
そう言って彼が自分の両足の間の部分を指した。
お言葉に甘えてそこへ座ると、彼は後ろから腕を回して私のお腹の前で手を組んだ。
今日の彼は甘えんぼだな。
「ルイ、どうしてオルゴールここにあるの?いつもチェストの上に飾ってあるのに…。」
私は彼の方へ振り向き、素朴な疑問を投げかけた。
「…このメロディー聴いてると、のこと思い出すから。だってこれ、俺としか持ってないオルゴールでしょ?」
彼は少し照れくさそうに、少し頬を赤く染め、私から目をそらした。
「…ルイがいない時、私も同じことするよ?」
今まで恥ずかしくて言わなかったけど、彼が愛しくて、ついつい秘密を打ち明けた。
お互いにクスクスと笑って、ふと時が止まる。
それからだんだん彼との距離が縮まって、唇と唇が重なった。
「…が今俺の傍にいるって、確かめさせて。」