第7章 あなたがくれたもの*アラン*ルイ*ユーリ
<ユーリ×フレアリボンのバッグ>
「様、今日のお召し物はいかがいたしますか?」
公務で食事会や会合、舞踏会など外交がある時は、仕立て屋の女性に来ていただいて服を選んでもらう。
「そうですね…。このバッグに合うようなものをお願いできますか?」
そう言って私が彼女に見せたのは、リボンで埋め尽くされたピンクとパープルの可愛らしいバッグ。
そっと白い花のコサージュがあしらわれている。
「様は、本当にそのバッグがお気に入りですものね。」
何度もこのお願いをしているだけあり、彼女にもすっかり覚えられてしまっていた。
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無事に今日の外交を終え、ユーリと一緒に馬車に乗ってお城への帰路についていた。
「様、今日もお疲れ様。」
「やっぱりすごく緊張したよ…。私ちゃんと出来てたかな?」
「うん!様、頑張ってたもん。もっと自信持っていいって!」
彼の朗らかな笑顔に、私もつられて笑顔になってしまう。
彼はいつも私の心をぱっと晴れやかにしてくれる。
「ところで、様今日もそのバッグ持ってきてくれてたんだね?」
彼は私が手に持っていたバッグに視線を落とした。
「うん!バッグ…というよりは気に入っているのはこのコサージュだよ。だってユーリがくれたものだから…。」
ちょっとだけ恥ずかしくてへにゃりと頬を緩ませた。
この花は「絆」を表す。
彼と私を繋ぐ「絆」。
「じゃあさ、コサージュをこういう風に使ってもいいんじゃない?」
彼はバッグを手に取り、飾られていたコサージュを取り外した。
すると、私の胸元にそっとコサージュを付けた。
胸に少しだけ彼の手のぬくもりが残り、私の鼓動がうるさいほど響き始めた。
「こうすればいつも一緒でしょ?…あれ?様、顔が赤いよ?もしかして期待しちゃった?」
「…ユーリの意地悪。」
悪戯っぽく、でも憎めない笑顔を向けて、彼は私にそっとキスをした。
「続きはお城でね?」