第1章 あなたしかいない*ルイ*
シーザー公爵が私に会いたかったと言っていた理由が明確になった。
もちろん、宣言式の時にルイを次期国王陛下だと国民の前で紹介している。
「失礼ですが…ハワード卿は元々孤児であり、養子としてハワード家に入ったそうじゃないですか。純血ではない方を王家へ入れるのはいかがかと…。」
その言葉を耳にした瞬間、頭に血が上っていくような感覚になった。
反論せずにはいられないけど、少しだけ残された理性がプリンセスとして相応しい言葉を選んでくれた。
「シーザー公爵。お言葉ですが、私はハワード卿としてではなく、ルイという一人の男性として彼を見ています。彼自身に惹かれ、次期国王陛下になって頂くようお願いしております。仰ることを気にされるようでしたら、私もウィスタリアのプリンセスとして相応しくない存在です。」
真っ直ぐに彼を見つめ、揺るぎない意思を伝えた。
すると彼は私の腕を引き、自分の胸元へ引き寄せた。
離れようとしても、力の差が有りすぎて腕を振りほどくことができない。
「わかってはいるんです。でも貴女のことを諦めきれない…!」
無理やり私の顎を持ち上げ、彼は唇を寄せてくる。
「いやぁ…。ルイ…!」
触れられるのも、抱き締められるのも、キスをされるのも、ルイじゃなきゃダメなの。
恐怖と拒絶から震えが止まらない。
咄嗟に目を閉じてしまった。