第1章 あなたしかいない*ルイ*
プリンセスに就任してから習ったダンスも回数を重ねるごとに、様になっていくのはわかった。
でも、相手が自分の求めている相手ではない。
それだけでこんなにも動作的になってしまうものかと気付いてしまう。
特に、今はルイにずっと会えていないから尚更のこと。
「プリンセス有り難うございます。素晴らしいダンスでした。」
私の複雑な心境とは裏腹に、シーザー公爵はお褒めの言葉をかけてくださった。
「そんな…とんでもないです。ですが、お褒めに預かり光栄でございます。」
「少しバルコニーへ出て、お話しませんか?」
相槌を打つ前に手をぐいっと引っ張り、バルコニーへと連れ出された。
バルコニーへ辿り着いてもなお、シーザー公爵は一向に私の手を離そうとしない。
「あの…シーザー公爵?」
「お恥ずかしい話なのですが…貴女の写真を拝見して人目で惚れ込んでしまったのです。それで今回この舞踏会を用意して頂いたのです。」
「え…。ですが、ご存じのように先日宣言式を迎え、その際に婚姻関係にある方をご紹介させて頂いておりますので…。」