第6章 愛の証*ルイ*
ルイのきれいな背中の左側に、肉眼でもうっすらとわかる傷跡。
私は、はっとした。
ルイがシュタインの大公を攻撃した疑いをかけられ、大公に剣を向けられた時。
私は、咄嗟に彼をかばおうと大公の前に飛び出した。
痛みを覚悟し目を開けると、彼が私を抱き締めて代わりに剣を受けていた。
「?」
気付けば私は彼を後ろからぎゅっと抱き締めていた。
「ごめんね…。」
一言呟くと、私はそっと彼の背中の傷に触れた。
「どうして謝るの?」
彼は驚いたように、少し目を見開いて私を見つめた。
「だって…私を庇ってルイに傷が残ってるから……。」
あの日から随分と月日は流れているのに。
自分のせいで大切な彼に一生消えない傷を負わせてしまった。
せめて少しでも傷が癒えるように。
おまじないのようにその傷跡にキスをした。