第5章 星空の下で*アラン*
真っ暗で静かな夜に馬の足音が響く。
しばらく走り続けて、アランが手綱を引き馬がゆっくりと足を止めた。
辺りを見回すと、森を抜けた先に現れた小高くて広い丘。
遠くにウィスタリア城や城下町の灯りが見える。
先に彼が馬から降り、私に手を差し伸べてくれた。
安心してその手を取り、彼に抱き止められるように地面に足をつけた。
「上、見てみろよ。」
その言葉で空を見上げると、一面の眩い星空が広がっていた。
「うわぁ……!きれい…!」
「余計な光や建物がない分見やすいだろ?」
遮るものが何もない星空に私はすっかり夢中になり、ずっと上を見ながら歩いていた。
すると、足元がおぼつかず体勢を崩してしまった。
「きゃっ…。」
転ぶ!と思ったら、急に腕を掴まれアランの胸に飛び込んでしまった。
「上ばっか見てると転ぶぞ?って言う前にやっぱやるんだな、お前は。」
「もーっ…。言ってよー!」