第3章 うたたね*ルイ*
「…あれ?」
外交を終え城に戻ったルイ。
ふと広場の方へ目をやると、姫君がベンチに座っているのが見えた。
「?」
後ろから呼び掛けても返事がない。
いつもなら、「ルイ!」と名前を呼び花が咲き乱れるほどの笑顔を向けてくるのに。
顔を覗き込むと、いつもキラキラさせている瞳を閉じて気持ち良さそうに夢の中。
「…君は本当に無防備なんだから。」
隣に腰掛け、を見つめると長い睫毛が際立ち、子どものようにすやすや眠っている姿が愛らしかった。
その時彼女の足元に落ちている本に気付き、拾い上げて表紙を見た。
「これって…。」
ルイは健気な彼女をとても愛しく想った。