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イケメン王宮*Short Stories

第35章 私だけの王子様*ルイ*


禁じられていた階段を昇り、目の前に現れた扉をゆっくりと開くと、青空が視界いっぱいに広がり、遠くの方にウィスタリア城がふわりと浮かび上がっていた。。

「きれい…。」

思わずその景色に見惚れていると、太陽の光が反射した綺麗な金の髪が風に揺られている大好きな人の後ろ姿を見つけた。

隣にはふわふわ柔らかそうな長い髪がなびくサーシャの姿があった。

「ルイとサーシャ、見ーつけた!」

ルイの背中に軽く両手でタッチすると、ルイは振り向いて優しく微笑んでくれた。

「…すごいね。どうしてここがわかったの?」

「院長さんが教えてくれたの。ルイは昔ここで空を眺めてたって。…ところでサーシャはどうしてここに?」

「俺の後ろを付いてきてたみたいで…。一緒にここで隠れてた。」

するとサーシャが顔を赤くして、ぽつりと呟いた。

「…だってルイさまはサーシャのおうじさまだもん。いっしょにいたかったの。」

頬を赤く染めるサーシャは本当に可愛いお姫様みたいで、とても言葉を否定する気にはなれなかった。

「…レンは何でと一緒に来たの?」

「ぼくは…プリンセスのおうじさまになりたかったから。おうじさまはプリンセスのそばにいるんでしょ?」

レンもサーシャと同じような言葉を紡ぐものだから、私は驚いて目を丸くしてしまった。

ルイはレンと同じ高さになるように屈んで、そっとレンの頬に手を添えて、口を開いた。

「うん…。そうだね。だけど…」

「サーシャ、レン。お昼寝の時間ですよ。一緒に戻りましょう。」

ルイの言葉の途中で、院長がサーシャとレンのお迎えにやって来た。

院長はサーシャとレンの手を引くと、ルイに優しく微笑みかけて、言葉をかけた。

「あなたがここにいると、何だか懐かしい気持ちになるわ。もっとも、今はあの頃と同じ心持ちではないと思うけれど。」

「…そうですね。今はがいるから、あの頃みたいに寂しくない。」

予想外に飛び出した自分の名前にはっとして、ルイの横顔を見つめると、ルイはとても柔らかく微笑んで、口元も綻んでいた。
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