第35章 私だけの王子様*ルイ*
院長が二人を連れていった後、屋上は私とルイの二人だけの世界になった。
するとルイが私の腰に両腕を回して、ぎゅっと抱き寄せられた。
「ルイ…?」
不意な行動に胸がきゅっとして、でもその温もりが愛しくて身を委ねた。
すると耳元でそっとルイの優しい声が聞こえてきた。
「…笑わないで、そのまま聞いてくれる?」
「?…うん。」
そのままで、と言われてしまったので、ルイの表情を窺うことができなかった。
「…の王子様は俺なのにって思った。」
「え!?」
思わず約束を破って腕の中からルイの方を見やると、頬を真っ赤に染めて照れくさそうにしていた。
「…妬いてくれたの?」
「そうだね…。レンと手を繋いでるの見て、は俺のなのにって思った。…自分でも子供に対して嫉妬するなんて思わなかった。」
困ったように笑うルイを見て、私も心の奥に隠していた気持ちを見せることにした。
「ルイ、笑わないで聞いてくれる?」
「うん。…何?」
「私もサーシャに同じこと思ったんだよ。ルイは私だけの王子様なのにって。…恥ずかしい。」
すると優しい口付けが降ってきて、私の頬の熱を高めた。
高鳴る鼓動が静まらないまま、ルイと視線が重なって、もう一度優しく抱きしめられた。
「…は俺だけのプリンセスだよ。誰にも渡さないから。」
この腕の温もりを感じられるのは私だけ。
貴方は私だけの王子様。