第35章 私だけの王子様*ルイ*
「見ーつけた!」
「プリンセス!ちょっとさびしかったんだ。みつけてくれてありがとう!」
ぎゅっと抱きついてきた男の子の頭を優しく撫でながらも、見つからないルイのことが少しずつ気がかりになっていた。
その後も次々と子どもたちを見つけていくけれど、ルイの姿がどうも見当たらない。
「プリンセス、ルイおにいちゃんいないねぇ。」
「そうだね…。」
「サーシャもいないよ?」
見つかった子どもたちも一緒に探してくれて、レンもずっと私の手を握って一緒に歩いてくれているけれど。
院の中もよく子どもたちと遊ぶ庭園も探したのに、ルイとサーシャという女の子が見つからない。
子どもたちと頭を抱えて悩んでいると、院長が声をかけてくれた。
「お困りのようですね。まだ誰か見つかっていないのですか?」
「はい。ルイとサーシャが見つからなくて…。」
すると院長は何か思いついたようで、子どもたちには内緒でこっそり耳打ちしてくれた。
「ルイはここにいた頃、よくこの建物の屋上で空を眺めていたんですよ。今は危険なので、子どもたちは入れないようにしているんですけどね。」
私は子どもたちに庭園で待っててもらうように頼んで、屋上へ向かおうとした。
すると、ワンピースの裾をくいっと引っ張られ、視線を落とすとレンがじっと私を見上げていた。
「ぼく、プリンセスといっしょにいる。」
困った私は院長に救いを求めるように視線を送ると、院長は仕方がなさそうに頷いてくれた。
私はレンの視線の高さに合わせて屈むと、小さな声で囁いた。
「レン、今から行く場所は皆には秘密だからね。」
「うん!」