第34章 蜂蜜と月の夜【甘裏】*ルイ*
予定より少し早いけれど、滞在する邸宅に戻ることにした。
「ルイ、先にバスルーム使って。風邪引いちゃう。」
「俺は後でいいから、が先に行って。」
譲り合いの堂々巡りが続く中、ルイが形の良い唇に笑みを含めて私を見つめた。
「…一緒に入る?」
心臓がとくんと跳ねて、ルイを見つめ返すと首を傾げて、だめ?と返してきた。
嫌なわけなんて無い。
本当は最初から頭には浮かんでいたけれど、さすがに自分から誘うのは恥ずかしくて敢えて口にしなかっただけ。
「…一緒に入る。」
何となくバツが悪くて俯く私の手を、何も言わずにルイは引いてバスルームへと導いてくれた。
扉を開くと、大きめのバスタブには花びらが散りばめられていて、ふわりと花の香りが鼻を掠めた。
来たのはいいけれど、自分からさっさと服を脱いでしまうのは何か…と躊躇っていると、ルイは自分のシャツのボタンに手をかけて外していった。
するりとシャツが肌から落ちれば、肌が白い綺麗なルイの身体が目に入った。
思わず見惚れてしまっていると、ルイの手が今度は私のワンピースのリボンに触れた。
「…も。」
「…えっ!?」
私が驚いているのも関係なく、ルイは器用にリボンをほどいていく。
「ル、ルイ…。恥ずかしいから…。」
「じゃあ自分で脱ぐ?」
口元に悪戯な笑みを浮かべて優しく微笑むルイは私の答えをきっと見透かしている。
「…そのまま、お願いします。」
「…うん。」
最後のリボンをほどかれて、肩からすとんとワンピースが抜けて床にと落ちた。
瞬く間にお互い何も纏わない姿になると、ルイは軽々と私を横抱きにしてバスタブへと運んだ。
湯船に浸かると、ルイは私を後ろから優しく抱き寄せた。
「…こうしてると、まだ恥ずかしくないでしょ?」
「うん…。」
真正面で向き合うよりはずっと気が楽で、何より背中にルイの気配を感じて安心した。
少し距離を縮めてルイにもたれるように寄りかかった。