第34章 蜂蜜と月の夜【甘裏】*ルイ*
婚姻を結んでからも、何かと忙しなくすれ違っていた私達だったけれど、ようやく公務も落ち着いてきた。
そこで1週間という長期休暇をもらい、二人で新婚旅行に行けることになった。
初めて来たその国はリゾート地として名が高く、目の前に広がる光景に息を飲んだ。
「うわぁ…きれい!ね、ルイ!」
「うん…こんなに綺麗な海初めて見た。」
海の色は透き通っていて、太陽の光を受けてキラキラ輝きを見せていた。
砂浜は足跡を付けてしまうのが勿体ないほど真っ白だった。
二人手を取り合って歩く、そのゆったりした時間でさえ久しぶりで幸せを噛み締めた。
「、海に入ってみる?」
「うん!」
長めの丈のワンピースの裾を片手で少し持ち上げて、恐る恐る海に足をつけると身体に冷たさが走った。
「冷たくて気持ちいい…。」
足の指を砂が抜けていく感覚にワクワクして、もう少し前に進んでみようとすると、そこに今まで足を付けていた地面はなく、バランスを崩してしまった。
「!」
ルイが咄嗟に繋がれていた手を引いてくれたけれど、その勢いで逆にバランスを崩して二人で海に倒れこんでしまった。
私がルイを押し倒すような体勢になってしまい、慌てて起き上がった。
目の前のルイは綺麗な金髪から滴がぽたりと滴り落ちていて、シャツも濡れて身体に張り付いてしまっていた。
「ルイ、ごめんなさい…。私が勝手に行っちゃったから…。」
「大丈夫。…それよりもびしょびしょ。」
「…あ。」
私もルイと同じようになってしまっていて、二人顔を見合わせて思わず笑みを零してしまった。