第32章 Love Letters*ジル*レオ*ゼノ*
〈レオ〉
セレモニーを終えて部屋に戻ると、テーブルの上に華やかにラッピングされた箱と手紙が置かれていた。
差出人を確認した途端、胸がトクンと音を立て顔が綻んだ。
箱を開けると見覚えがある服が入っていた。
以前城下町へ一緒に出かけた時に、私がショーウインドーの前で足を止めたものだった。
こういう些細なことを覚えていてくれたことが嬉しくて、幸せだなと実感した。
ドキドキしながら手紙に目を通すと、実に意外な言葉が書き綴られていた。
本を読むのが好きで、文書を書くことも多いはずの彼が「頭を悩ませて手紙を書いた」と言っている。
自分のために筆を取り、言葉を選んでくれたことを想像すると感慨深かった。
「そんなに手紙じっくり読まれると恥ずかしいんだけど、ちゃん。」
頭の上から降ってきた声に見上げてみれば、そこには礼服に身を包んだレオが立っていた。
「レオ!いつの間に?」
「一応ノックしたんだけど、物音だけして返事がなかったから入っちゃった。…気に入ってくれた?俺からのお祝い。」
「覚えててくれて嬉しかった…。ありがとう!」
「今度出かける時その服着てきてよ。絶対似合うはずだから。」
レオの優しさが胸に染みて頬を緩ませると、レオは柔らかく微笑んでくれた。
私はレオにはすっかり心を許しているし、レオもそうだと思ってたんだけど…。
手紙の中の一文が気になって思わず尋ねてみた。
「レオは私といて緊張することがあるの?」
「あぁ、手紙のこと?悪い意味じゃなくて良い意味で、だよ。 」
「どういうこと?」
ハテナマークを浮かべていると、レオは私の頬にそっと手を添えて触れた。
「言い替えればドキッとするってこと。ちゃんと出会って1年経ったけど、すごく綺麗になったし余裕ではいられないでしょ。」
「そんなこと言うなら私だってレオにドキドキしてる…。」
今日も礼服姿のレオはとても素敵で、レオを見た時、身体に一瞬痺れが走ったかのような感覚になった。
「そっか…。俺たちお互い大好きってことだね。」
二人で顔を見合わせてはにかむように笑うと、どちらともなく唇が重なった。
私が恋したのも、これから恋するのもレオだけだよ。