第31章 4月12日*ユーリ*
4月12日の朝。
「様、おはようございます。」
カーテンが開けられ、窓から射し込む太陽の光が眩しくて目を覚ました。
「おはよう…。」
目を擦りながらぼやけた視界に入ってきたのは、メイドさん。
…そうだ。
ユーリに一日休暇をプレゼントしたんだった。
着替えを済ませて、髪をセットしてもらって、朝食へと向かう。
朝食の時にジルと一日のスケジュールを確認して、忙しい一日が始まる。
いつも通り公務をこなして合間に部屋へと戻ると、メイドさんが紅茶を準備してくれていた。
カップから香るのは、私が好きな紅茶の優しい香り。
「私この紅茶好きなの。用意してくれてありがとう。」
「良かったです。…ユーリさんが教えてくれたんですよ?」
さりげない気配りに頬を緩ませて、紅茶を口にするといつもとどこか違うことに気が付いた。
同じ茶葉を使っているはずなのに、ユーリが淹れてくれた紅茶の方が美味しく感じられる。
毎日一緒に過ごしているうちに、私の心にも身体にも全てにユーリがいることを実感した。
今日はそんな彼の誕生日。
夜はめいいっぱいお祝いしよう。