第29章 お揃いの誓い*ルイ*
待ちに待った約束の日。
悩んだ末に決めた裾に青い薔薇があしらわれたワンピースに身を包み、慌ただしく身支度を整えた。
ワンピースに合うアクセサリーを選んで、部屋を出る前に鏡で髪型とメイクを確認した。
折角のデートなのだから、少しでも可愛いって思われたいのが乙女心。
ドレスみたいにその状況に合わせた服装をすることが多いから、一から自分でコーディネートしてお出掛けするなんて本当に久しぶり。
弾む気持ちにウキウキしていると扉を叩く音がして、ルイが迎えに来てくれた。
「おはよう、ルイ!」
「おはよう。…うん、ワンピースよく似合ってる。可愛い。」
早速くれた褒め言葉が嬉しくて、思わずにやけてしまう。
目的地に向かうまでは馬車だけれど、着いてしまえばそこから迎えが来る時間までは二人きりの時間になる。
先に乗り込んで手を差しのべてくれるルイの仕草はあまりにも自然で、本当に王子様みたい。
その手に甘えて馬車の中に入り、ルイの隣に腰かけた。
膝の上に乗せていた手に隣から細くて長い指が絡まり、手から伝わる温もりに暖かな気持ちにさせられる。
「ここからどれくらいかかるの?」
「2時間くらいかな…。少し遠いからウィスタリアのプリンセス制度は広まっているけど、はっきり顔は認識されないと思う。」
久しぶりに公の場でプリンセスではない私でいられる。
前までは当たり前だったのに、それが簡単に出来なくなった今ではとても貴重な時間。
そっとルイを見つめると不意に視線が重なり、頬に優しいキスが落ちてきた。