第29章 お揃いの誓い*ルイ*
立て込んでいた公務も一段落したので、ジルから一日お休みをもらえることになった。
もちろん一緒に過ごしたい相手は決まっていて、彼の執務室の扉を叩いた。
扉の向こうから彼の返事が聞こえて、ゆっくり扉を開いて顔を覗かせば、柔らかく微笑んで部屋に招き入れてくれた。
「ルイお仕事中にごめんなさい。…今大丈夫?」
「うん。もうそろそろ終わりにしようと思ってたし…と一緒にいたい。」
そう言うとルイは甘えるように私の肩口に頭を寄せて、腰に手を回して私に抱きついた。
こうして甘えてくれるルイを可愛いなって思っていることは、怒られてしまいそうだから秘密にしておこう。
顔を上げたルイと視線が重なって、キスをすれば不思議と心が満たされる。
ソファーに並んで腰掛けてお休みのことを伝えると、ルイも同じ日に休みをとってくれるという嬉しい言葉をくれた。
「は何かしたいこととか、行きたいところとかある?」
「うーん…あ、あのね…。」
ずっと夢見ていたことがある。
プリンセスと次期国王候補という今では難しいかもしれないけれど、無理も承知で提案してみた。
「普通の恋人みたいに街でデートしてみたい…なんて無理だよね。」
恐る恐るルイの顔を覗き込むと、目を伏せて少し考えた跡に、何かを思い付いたように目を見開いた。
「…出来るかも。その代わり行き先は俺に任せてくれる?」