第27章 Birthday Date/アラン*レオ
<レオ>
視界に広がるのは様々なお店やレストラン、広場に教会も見える。
楽しそうに遊んだり、仕事に精が出したりしている人々。
隣を並んで歩く彼女は久しぶりの城下に見てわかるほどにウキウキしている。
時折町行く人に呼ばれる名は「プリンセス」より「ちゃん」の方が多くて、彼女がいかに城下の人たちに愛されていたのかが実感できた。
そっと指を絡めて手を繋げば、今度は嬉しそうに繋がれた手に視線を落とした。
いつものドレス姿もプリンセスの品格が現れて綺麗だと思うけど、ワンピースを着てコートにファーを巻いている年相応の女の子の服装も可愛いと思う。
昨日は俺とアランの誕生日パーティーが城で開かれて慌ただしかったから、翌日の今日二人で出掛けることになっていた。
「レオ何かしたいことある?行きたいところある?」
瞳を輝かせてちゃんが聞いてくるものだから、少し考えてこう答えた。
「じゃあ久しぶりに城下に行かない?普通の恋人同士みたいにデートしようよ。」
「うん!…でもそれだけでいいの?」
「もちろん。それが俺のしたいことだから。」
ちゃんを城下に行かせて喜ばせたかったのもあるけど、お祝いしようと頑張ってくれたちゃんにお礼がしたかった。
自分に対してあれだけ真っ直ぐに一生懸命に行動してくれたちゃんのおかげで、俺は素敵な誕生日を過ごすことが出来たんだから。