第27章 Birthday Date/アラン*レオ
馬を走らせて辿り着いたのは一面に花が咲き乱れる丘だった。
今日は馬一頭でを俺の前に座らせていた。
まるでを抱き締めているようで、妙に鼓動が速まった。
も俺の胸に背中を預けて、そっと寄り添ってくれた。
先に馬を降りてに手を差し出した。
は迷わず俺の手をとり、俺に飛び付くように馬から降りた。
その勢いに任せて、を自分の元へと抱き寄せた。
「…今日は甘えんぼだね。」
「たまにはいいだろ。俺の誕生日祝いだし、甘えさせてもらわねぇとな。」
腕の中でクスクス笑うあどけない笑顔にキスを贈れば、頬をほんのり染めて柔らかく微笑んだ。
1月にしては風もあまりなく、陽向にいれば陽射しが暖かくて心地よかった。
一緒に用意したピクニックバスケットを開けて、少し早めの昼食をとることにした。
が楽しそうに具材を選び、オリジナルサンドイッチを手渡してくれた。
ベーコンにスクランブルエッグ、レタスにトマトと具沢山なそれを頬張れば、何故か普通のものより美味しく感じた。
隣で同じものを食べながら笑顔を見せるを見て、改めて思った。
特別なことなんてしなくていい。
ただ一緒に食事をするだけでこんなにも満たされる。
が隣で笑顔でいれば、俺も幸せになれる。
「。」
「何?」
「ありがとな。」
「そんな大したことしてないよ?私の方こそありがとう。」
「何でお前が礼言うんだよ。」
「アランが産まれてきてくれて傍にいてくれるから、私は毎日幸せなの。」
「…俺もだ。」
お前さえいれば、何気ない日常も幸せで溢れるから。